足下にあった古墳時代からの遺構
私の住む町・才を南北に走る新道の夢前川西岸・広畑青山線工事が進んでいます。
この工事現場では、弥生時代から平安・鎌倉時代にかけての村の遺構が発見され、発掘調査が行われています。現地で行われた見学説明会に参加したので紹介します。
今回の目玉は、平安時代の初め頃のものとされる『暗文(あんもん)土器』の破片。
この土器は表面にへらで放射状やらせん状などの線を描いた文様(暗文)を持つのが特徴で、高級な金属器の輝きを模したものとされています。才村遺跡から発見された土器片は直径25cmほどの食器の蓋の一部と考えられる土師器(はじきき)で、『暗文』が確認されました。
梅雨の合間一日、猛暑の中13時からの見学会でしたが、多くの方が参加されていました。
今はコロナ禍の真っ只中、受付で三密を避けるための説明の他、検温、手の消毒、マスク着用、連絡先記帳などを行って参加が許されます。少人数にグループ分けされ、現場をさるくことになりました。
今回の説明現場は約1,800m²の範囲で、40個ほどの竪穴式住居跡、大昔の夢前川の流れ跡、土器などが並んでいました。かまどの跡もはっきりとしていて、焦げた土から火を使っていたこと、熾き灰を取り出した様子なども説明員の方には“見える”そうです。熱い説明に感心するばかりです。
さて、今回の目玉の『暗文土器片』はベージュ色の破片で手のひらより大きなものです。
うっすらと引っ掻いたような文様が見られました。今回の発見では、「この暗文がある土器は一般集落からは出土しない遺物で、付近に役所のような高貴な施設があった可能性があると推測される」ことが貴重だという事でした。
見学会に参加してみて、自宅から100mほどしか離れていない場所から弥生時代~中世の遺構が発見されたと言う事に加えて、住居跡・土器・かまど跡など確かな“弥生の日常”があって、その上方1.5m程の地層の上には“令和の今がある”、時代の繋がりに思いっきり感動した時間でした。
(25回生、松﨑 隆)